アクリル、石州和紙/技法:和紙にアクリル絵具を何十回と重ねて描いて行く。
− 変容する波 , 集積する粒子
この波シリーズは、2019年から始まった瀬戸内海での滞在制作中の体験を元に、既に表現の一つとなっているWP(Water pollution)シリーズが自身の中でコネクトされ派生した作品です。
現地の人々にとって、潮の満ち引き、波の動きは、暮らしや命と直結した体の一部として存在しているように感じました。
自然の猛威、時代の流れ、巡る命の連なり、全ては波のように反復し、物質は安定に向かい、小さな粒子となって、重なり絡み合いながら現代を形成し次の波へと繋がります。
点描画の歴史から着想を得て、集積という時間の重なりにより、一つ一つのセルが大きな奥行きとなって現れる現象を表現した、「Overlap」「Water pollution」から繋がり、「揺らぎ」「循環」を重ねています。自然の波、時の波が、人間の時間軸ではなく、できればそれらの動く時間軸に身をゆだね、誰もが波という揺らぎを媒体として、内へ内へと泳ぐトリガーとなれば幸いです。